お好み様

辺境惑星物語 星夢
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ACT.1 アドリオネ

 地球は、驕り高ぶった人類により破滅した。
 至る所でキノコ雲が上がり、世界は紅く、またどす黒い闇の世と化し、人々が己の過ちに気付いたときはすでに遅く、暗黒の大地が広がるばかりだった。
 それが原因か否か。
 地球は自らの軌道を外れ、太陽から離れて巡り、恵みを与えるはずの光を受けることも出来ず、大気は冷えて固まっていった。
 そして地球は、氷の星と化した。

 星間暦267年。
 惑星アドリオネ。

「出来ました?」
「何が?」
「惚けないで下さいよっ!」
 両手を握りしめて男は叫んだ。
 僕は素知らぬ顔でお茶を啜る。
「やっぱりトルーネの緑茶は美味しいですね。この香りがなんとも……」
「お茶の話をしてるんじゃありません!」
 男はバンッとテーブルを叩く。
「特別空輸で取り寄せたのに。あ、おせんべも」
「貴方の贔屓は、後で、ゆっくり、お聞きしますっ」
 殊更言葉をわざわざ句切り、男は僕を睨んだ。
「そんなことのために、わざわざこんな辺境まで来たんじゃありません! 私がお尋ねしているのは……」
「はいはい、コレでしょ?」
 僕はピッと1枚のカードを出す。
「出来てるんじゃないですか!」
「うん。君が来る10分前に。だからお茶しましょ」
 男はテーブルに突っ伏した。

 僕の名前はリューイ・フレデリック。
 しがない三文小説を書いている。売れ行きはまあ、そこそこ暮らしていける程度には売れてると思う。取り敢えず、日々の暮らしには事欠いていない。
「さて、と」
 僕付きの担当を久し振りにからかった後、彼を送りがてら街に買い物に出た。

 アドリオネ星は中央惑星からやや離れているところにある辺境惑星だ。だから街と言っても中央のように煌びやかな物ではなく、お手軽なマーケットに行くようなものだ。
 中央惑星は、その名の通り他惑星の中心的存在で、また、ここが全ての先端でもある。
 宇宙船の分岐点であり、貿易惑星であり、技術開発が最も進んでいるのもこの惑星である。
 そしてこの中央惑星を中心とした、アドリオネを含むアルファ太陽系他14の太陽系により、惑星連合が存在している。

「そろそろお茶菓子、足しとかんといかんなあ……」
 僕は買い物籠に幾つか菓子袋を放り込み、他の食料の棚を見て回る。
「あれ、フレッド先生じゃないか」
 声がする方を振り向くと、そこにはマーケットの店主が、穏和そうな顔でにこにこと手を振っていた。
「こんにちは、テイラーさん」
「お仕事の方はどうかね?」
「お陰様で、ついさっき終わりました」
「そーか、そーか」
 わはははっと明るく笑い、テイラーは僕の肩をバンバン叩く。
「次はいつ頃出るかね? 楽しみにしとるんだよ」
「ありがと、テイラーさん。そうですね……今度の収穫期前には出ると思いますけど……」
 アドリオネは農業惑星で、生産の半分以上が農作物だ。
「よっしゃ。早速本屋に予約してこんと」
 テイラーは店員に呼ばれて、笑いながら去っていった。
「相変わらずね、テイラーさんは」
 ころころ笑って、近くで見ていたトーリャ夫人が僕に声をかける。
「ご機嫌よう、フレッド先生」
「こんにちは、トーリャ夫人。ご主人はお元気ですか?」
「それも相変わらずよ」
 町内会のノリで賭けられる声に挨拶を返しながらマーケットを出る。

 アドリオネはその大地の3分の2以上が畑になっているため、人口が少なく、人々は大抵顔見知りだ。その上、年に一度の収穫祭は惑星中の人間が集まるから、絶対一度は顔を合わせていると言って間違いないだろう。
 だから余所者が来るとすぐ分かる。悪い意味ではなく、それほどこの土地に人が少ないと言うことでもある。
 それが理由というわけでもないだろうが、この星には警察が存在しない。
 警察組織を兼務したような、連邦軍の一端が僅かに存在するだけだ。
 何故なら犯罪発生率が極端に低いからである。
 それはそうだろう。誰もが顔見知りでは、何かやらかせばすぐに分かってしまうのだ。
 治安が良い、といえば聞こえはいいが、単純に人がいないというだけという話もある。
 だが、僕はそこがこの星の良いところだと思う。

 もう、3ヶ月ほどもすれば、この星は黄色い星になる。
 ぽかぽかと暖かい、あまり季節変化のないこの星は、本当に長閑で、心安らぐ場所だ。
 僕は、この星の生まれではないのだが、自由になると同時にこの星に移り住んだ。
 外へ外へと広がる科学力に対して、この星は常にのんびりと、大地の呼吸を繰り返している。

 ……あの星が、かつてはそうであったように。
 人類の故郷である地球は、今や人々が振り返ることなく、氷の惑星と化し、黙している。
 人類の愚かな欲望の為に、地球は元の軌道を外れ、海王星と冥王星の間を周回する軌道で落ち着いた。その為太陽の光は届かず、空気は個体となり、全ての海洋は凍り付いた。
 名前の通り、「死の惑星」となった地球は、過去の遺物として彷徨い続けている。
 人類の方はというと、以前からすでに惑星改造に乗り出し、版図を広げ始めていたことから、惑星移民の形でまんまと人類滅亡を免れた。
 また、地球に残っていた……つまり、氷の星にさせた張本人達は、科学の力で脱出し、地球を捨て去った。
 己が欲し、全てを滅ぼしてでも手に入れようとしたものを、こうも簡単に諦めてしまえるのだろうか。
 人間とは、なんて我が儘な存在なのだろう。
 何度か元の緑の星に戻そうと試みたが、あれから数百年経った今でも、吉報は届いていない。

「んーっ」
 軽くノビをして辺りを見渡す。
 小高い丘から見る大地は、緑から黄色へと衣を変えつつある。
「今年の麦はどうですかー?」
 少し離れたところで畑を見回っている男に声をかける。男は両手を大きく振って、「上々ですーっ」と答えてくれた。
「フレッド先生!」
 足下から声がして、見下ろすとエア・バイクに乗った少年が、僕に向かって手を振っていた。
「やあ、トニー。学校は終わったのかい?」
「これから帰るとこ。先生も帰るの? 乗せてこうか?」
「ありがたい」
 僕はトニーの後ろに、背中合わせに乗った。

 シュンッと軽い音がして、エア・バイクは大地から20センチほど浮き上がり、そのまま道を進んでいく。
 風景が僕の後ろから前へと動き、丘が少しずつ遠くに離れていく。
 僕のブラウンの髪が、後ろから風に流れた。
「先生、買い物?」
 トニーが背中越しに声をかける。
「うん。お茶菓子が切れちゃってねえ」
 紙袋の中をごそごそと探し、マーケットで3本セールをやっていたオレンジジュースを1本取り出す。
「飲むかい?」
「うんっ。ありがと!」
 器用に肩越しに振り向いて受け取る。
「ちょうどホークス行きのバスがなくてねえ。1時間も待つくらいなら、散歩しながら歩いてもいいかなーと思って」
「ホークスはアドリオネの中でも、一番田舎だもんな」
「君もそこに住んでるんだろうが」

 街からエアバスで30分くらいの場所に、ホークスという町はある。
 クランクトという男が、ホークスの町長で、ついでに畑主で、トニーの父親だ。
 僕はそのクランクト家の隣に、家を構えていた。

「学校はどうだい?」
 16歳という、最も活発な時期にあるトニーは、元気よく答えた。
「学園祭が近いんだ。でもって今度の収穫祭、うちの学校使うってんで、人の出入りが凄いよ」
「へえ?」
「今はその準備で大変。それで……」
 すると突然、エア・バイクが停止した。
「何?」
「……先生、あれ……」
 右も左も麦畑。
 その真ん中に通っている一本道のずっと先を、トニーは指差す。
「人……?」
「トニー、行こう」
 エア・バイクは道の真ん中に倒れている人影の元へと走った。



「フレッド先生、あの子は?」
 トニーが紙袋を抱えて僕の側にやってきた。
「ん、大丈夫。疲れてるみたいだから、ゆっくり休んで美味い物をたっぷり食べればすぐ回復するよ」
「良かった。あ、これ着替え。俺のだから、多分サイズは大丈夫だと思うけど」
「悪いね、トニー」
 トニーからありがたく紙袋を受け取る。やはり隣近所のお付き合いは大切だ。
「他にも足らない物があったら、遠慮なく言ってくれって父さんが」
「そうか。うん、ありがとう。その時は頼むよ」
 ひらひらと手を振って、トニーが帰っていった。

 僕はトニーが貸してくれた服を持ち、奥の部屋へ入る。
 トニーと同じくらい……15、6歳くらいだろうか。
 僕のベッドに横たわる少年を見ながら、僕は思った。
 ……どこから、どこへ?
 少年の倒れていた向きから見て、おそらくアドリオネにある、もう一つの宇宙港ページェから、フェルナ宇宙港へ向かう途中だったと思われる。
 宇宙港によって、向かう先が違う船が入るから、そのどれかに乗るつもりだったのだろう。
 少年の額にかかるアッシュブロンドを掻き上げてやる。
「珍しい色だな……」
 僕はごく平凡なブラウン・ヘアにブルー・アイズ。父がジャパンシア系だったから、金とか赤とか色のあるものが凄く羨ましい。
「ん……」
 その時、少年が身動いだ。そしてゆっくりと目を開ける。
「ブルーグリーン・アイズ……こりゃまた何ともはや……」
「……?」
 訳が分からないらしく、不思議そうに僕を見ている。
「気分は?」
「……大丈夫……です」
 澄んだ声がその口元から零れた。
「ここ……?」
「アドリオネの片田舎、ホークス。シティ・サルーンからホークスに行く途中に、君が倒れてた。
 僕はリューイ・フレデリック」
 すっと右手を差し出すと、彼もおずおずと手を握り返してきた。
「ジェイノルド・クリストファです。すみません、ご迷惑をおかけしちゃって」
「これ、隣の子から借りたんだけど、良かったら着ているといい。君の服は砂だらけになってたんで、勝手に申し訳ないんだけど、洗わせて貰ったよ」
 流石に僕のパジャマではだぶだぶだ。
 自分の手先が隠れてしまっているのを見て、ジェイノルドは赤面する。
「着替えて、大丈夫そうならこっちへおいで。夕食が出来てるから」
 少年はぺこりと頭を下げた。

 僕は幼い頃から家事を叩き込まれていたので、結構出来る方だと自負している。
 特に小説に詰まったときは、気分転換に料理をすることもしばしばなので、専業主婦並みの腕はあると思う。
 皿を並べていると、入り口にジェイノルドが現れた。
「大丈夫そうだね。苦手な食べ物はある?」
 にっこり笑いかけると、少年は遠慮がちに好き嫌いはありません、と答えた。
「立派な心がけ。トニーも見習ってほしいもんだ」
 隣の少年は、ニンジンを毛嫌いする。
「今度すり潰してみるかなあ……あ、どうぞ。そこにかけて」
「美味しそう……」
「美味しそう、じゃなくて美味しいんです。僕の自慢のスープだからね。よーく、味わってくれよ?」
 茶目っ気たっぷりにウィンクすると、ぎこちなかった少年の顔が綻んだ。
 うん。笑えるなら大丈夫。

 魚を主体とした、さっぱりした食事を終え、僕は改めてジェイノルドに向き直った。
「どうしてあんな所に?」
「ゼイル星からの定期貨物便に乗せて貰ったんです。アドリオネから出る、カーサス行きの船に乗りたくて」
「カーサスへ?」
 ジェイノルドは頷くと、再び口を開いた。
「……姉を……捜してるんです」
「お姉さん?」
「双子の姉で……両親とも、幼い頃に死んでしまって、ぼくとリーン、あ、姉の名前はジェイフリーンといいます。孤児院で育ちました。
 ところが20日くらい前、いきなり行方をくらましてしまったんです」
 前触れもなく、身近な物だけを持って居なくなった。
「何とかゼイルでリーンの足跡を見つけたはいいんですが……どうも、カーサスに向かったらしいんです」
「……はあ」
 カーサス、ねえ。
「それで慌ててアドリオネに来たんですが……。今までちゃんと休まなかったから、とうとう倒れちゃって」
 恥ずかしそうに俯く。
 良い子、なんだよね。
 実際、たった1人の肉親を求めて旅するなんて、少年1人ではこの宇宙は広大すぎるだろうに。
 しかし、こればかりは仕方がない。
 僕は腹を据えて、ジェイノルドに言った。
「せっかくここまで来たのに、残念だけど……」
「え?」
 真っ直ぐな瞳で僕を見る。
 うーん、言いにくいが言うしかない。
「カーサス行きの便だけどね。もう、ないんだ」
「……え?」
「つまり、ね。カーサス行きの宇宙船ってのは、元を正せば物資の貨物輸送船なわけ。
 アドリオネには年3回の収穫期があってね、ついこの間、2度目の収穫期が終わったんだ」
 僕の話をじっと聞いていたジェイノルドは、その意味する物に気付いたのか、段々険しい表情になってくる。
「まさか……」
「うん。残念ながら、昨日の便が最終だったんだよね」
 ずううーん。
 ジェイノルドはブラック・ホールを背負い、沈み込んだ。
「次は……」
「えーと、3ヶ月後……くらい?」
「さん……」
 どっぷり沈み込んだジェイノルドを見ながら、僕も天を仰ぐ。

 さて、どうしよう。
 カーサス行きの便はない。
 あとは個人用シャトルくらいなものだが、カーサスくんだりまで行くような奴が、果たしてこのアドリオネにいるだろうか。
「……えーと、ちょい、質問。
 どうして君の姉さんは、カーサスに向かったのかな? 全然理由が思いつかない?」
「はい……」
「孤児院って、どこ?」
「第2惑星、オルシスです」
 中央の隣だ。
 アドリオネは第7惑星にあたり、ゼイルは第6に当たる。
「オルシスからゼイル、そしてアドリオネ。ここからカーサス……」
 ぶつぶつと軌道周期を数える。
 カーサスはベルタ太陽系第11惑星だ。
「ジェイフリーンは、どこへ行こうとしてるんだろう?」
 僕の問いに、ジェイノルドは首を傾げた。
「……待てよ? 確か今の時期、カーサスは……」
 僕はふと気付いた。
「地球?」
「!」
 ベルタ太陽系の中でも、一番遠い軌道を巡る惑星カーサスは、軌道周期の関係で、ソル太陽系元第3惑星地球への最短距離を取るのだった。

 極寒の星、地球。
 海王星と冥王星の間の軌道を巡り、気温はけしてプラスになることはない。
 今、この星に生き物は存在せず、どういう原理によるものか、離れることなくくっついている地球の衛星「月」に基地が造られて、そこで地球を観察している一部の科学者がいるのみである。
 以前は地球を元に戻すための研究が盛んに行われていたが、今はもう、ただの観測所となり果てている。

「……というわけだから、地球、というより月、かな?」
「でも、何のために……?」
 ジェイノルドが益々頭を抱え込む。
「失踪の原因も、分からないの?」
「……」
 はて? 黙り込む少年に、僕は再度尋ねた。
「何か知ってるの?」
「……知ってる、というわけではないんですけど……」
 ジェイノルドは少し考え込むと、しばらくして顔を上げた。
「夢を、見たんです」
「夢?」
「2人一緒に。それからすぐ、リーンは姿を消してしまった……」
 悲しげに僕を見つめる。
 僕はその瞳を柔らかく受け止め、再び聞いた。
「どんな夢?」
「……青い……地球」
「……」

 青く輝く地球。
 大地には緑が萌え、水は命を潤した。
 夜には海は星々を映す鏡となり、小鳥は光の恵みを歌った。
 だが。
 それは全て幻になった。
 氷という、冷たい大地に覆われて。

「見たこともないのに……。そりゃ、資料としては知ってます。でも、どの星も似たようなものでしょう?」
 よほどその星特有の物質を含んでいない限り、大気のある星はどこも似たような見え方をする。
「なのに……なんで……」
 今になって、その異常さに気付いたのか、ジェイノルドは体を震わせる。
「なんで、僕らはそれを、『地球』だって思ったんだろう……」



「おーい、行き倒れ、この箱どーするー?」
「もう、いい加減にその呼び方はやめてくれ!」
 箱を抱えて笑うトニーに、ジェイノルドが苦笑しながら刃向かう。
 すっかり打ち解けたらしいジェイノルドが、声を立てて笑う姿を見て、僕は安堵の息をついた。
「これでお仕舞い?」
 ジェイノルドと入れ替わりに、トニーがコックピットに入ってくる。
「そう。悪いね、手伝わせちゃって」
「んじゃ、お駄賃はルナ・ストーンということで」
「このちゃっかり者」
 こつん、と頭を叩いてやると、トニーは舌を出して笑った。
「置いてきました。他には?」
「終了。シートに座ってくれ。トニー、ありがとう」
「うん。気を付けてね。久し振りの宇宙で、迷子になんかならないでよ? 恥ずかしいから」
「トニー」
「ジェイノルド、お姉さん見つかったら、また来いよ! 収穫祭に間に合うといいけど」
「うん。ありがとう、トニー。必ず!」
 手を振って出て行くトニーの姿が安全圏に入るのを確認して、僕は通信機のスイッチを入れた。
「管制室……」
『あいよっ』
「……あー……」
 管制室の妙な明るさに僕はパネルの上に突っ伏した。
『ルナまで行くのか。奇特だねえ』
「あのな……」
『〆切から逃げるんじゃねえのか?』
「グラウディーン!」
 僕は目の前のスクリーンに映っている宇宙港管制塔の長官、グラウディーン・フェルナを睨み付けた。
『スタンディング・レディ。おい、そこセーブしとけ。
 リューイ、宇宙に出るの、何年ぶりだ?』
「それはお互い聞いてはいけない極秘事項だよ、グラン」
 僕と大して年の離れていないグラウディーンは、僕にとって大切な友人である。
 似たような境遇であることも手伝って、僕がこのアドリオネに来たとき、真っ先に手を差し出してくれた。
 彼は僕より長くアドリオネにいる。

「ノル、ベルト締めて。そろそろ行くよ」
「あ、はい」
 カチャンと軽い音がして、両肩から腰にかけてベルトが巻かれる。
 僕はコントロール・パネルに手を伸ばし、発射準備を開始した。
『カウント取るぞ』
「了解」
『カウント・ダウン。10、9、……あ、そだ。リューイ、その辺にマニュアル置いてないか?』
「ああ?」
 グラウディーンの言葉に、パネルの近くを探す。すると5、6枚の手書きらしいレポートが見つかった。
『そうそう、それ。流石に50年前の船じゃ古すぎていざってときに使い物にならねえとヤバイから、少し改造した』
「なにっ?」
『機械ってなあ、使ってやんねーとサビんだぜ。お前、50年間ずっと飛ばしてやらなかったろ? 可哀想だからさー』
「グラン……っ!」
『んじゃ、収穫祭までには帰ってこいよー』
「おい!」
『……1、ゼロ。発射!』
「覚えてろっ!」
 グラウディーンは言いたいことだけさっさと言って、通信を切ってしまった。


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